2005年07月08日

「管理間接業務」究極の効率化策は“アウトソーシング”?

36fa4a7f.jpg景気が悪くなり業績が悪化すると、経営者は自社の管理間接業務の合理化・効率化に着手します。
もちろん、それ以外にも商品・サービス戦略の見直しや新規事業の推進なんかも行うわけですけど。
管理間接業務の合理化・効率化を検討する背景には、やはり、“コストがかかりすぎている”という認識があるわけです。
かといって、これは何も管理間接部門で働いている人たちが悪いわけではなく、経営側が要求することに応えているうちにそうなってしまったということも大いに影響しているのです。

私の経験でもこんなことがありました。
以前勤めていた会社で、当時勢いのあった営業担当の役員が「金を稼いでいる営業の前線に比べたら、管理部門なんて金食い虫だ!」とよく口にしていたのを耳にしたことがあります。
ところが、この役員が平取から常務、専務と昇進していくにしたがって、なぜかこの人の口からそういう言葉をあまり聞かなくなりました。
(私が知らないだけかもしれませんが)
そのかわり、管理部門によく顔を出しては、「こういう管理機能は重要だよな。もっと強化しなければいかん」みたいなことを言っていたような記憶があります。


まぁそれはさておき、最近は、管理間接業務の合理化・効率化策として、アウトソーシングシェアードサービスを検討したり、実施する企業が増えています。
ただし、これらの施策によって本当に管理間接業務の合理化・効率化の上で期待した効果が出たかどうか私にはわかりません。
関連書籍などで成功事例や概念論のようなものを読むことはありますが、自分が勤務した会社で実際にそういう施策が行われたとか、自分がそういう業務を経験したことがないのでいまひとつピンとこないのです。

同じ管理業務の経験者として、時々参考にさせていただいている田代さんの『人事労務屋のつぶやき 独立編』の7/4付記事「シェアードサービスに関する一考察」は大変興味深いものでした。
実際にシェアードサービスをやってみたもののうまくいかなかった企業のことが書かれています。
田代さんも概念としての有効性は認めつつも、実際の導入には難しい面が多々あるということを指摘されています。
ご経験されたゆえの重みが感じられます。

アウトソーシングという場合、自社とは関係ない別の専門会社に委託するケースと、自社で専門子会社を設立しそこに委託するケースがあると思います。
パソナなどの人材派遣会社でもそういう事業を行っていますし、株式会社人事部だの株式会社総務部だのといった会社までありますしね。
それぞれのケースでアウトソーシングを実施してどれぐらいの成果を上げているのか(利益インパクトがあったのか)知りたいところです。
書籍などには概念的な表現で成功事例を紹介しているようなものはよく載っているのですが、失敗事例があまり紹介されていません。
私はむしろ失敗事例のほうが知りたいですね。

どんな仕事だってそうだと思うんですが、概念(コンセプト)的にはたしかにその方向性だろうなというのはあるでしょう。
ただ、誰がどういう覚悟をもって、どういう条件・環境のもとでそれを行うのか、十分研究し、仮説を検証してみたか、ということは重要です。
失敗している事例には、他社もやっているからうちもという感じでたんなる人真似でやった結果失敗したというのもあるかもしれませんね。
やっぱり、基本的なことかもしれませんが、自社にとって本当にそれは今必要なのかということは十分検討すべきでしょう。
管理間接業務に関わっている人員の割合が50%の会社と5%の会社では、施策が違って当たり前だと思います。
また、中小零細時代は自社で管理部門を抱えるだけの余裕がなかったためアウトソーシングしていた企業が、成長して規模が拡大していく中で管理機能強化の必要性を感じ管理部門を設置していくことも十分考えられます。
事業展開を図っていく中で、自社内の管理間接業務をどうするかはまだまだ試行錯誤が続くような気がします。

ちなみに、私自身は、大企業の中の管理部門しか経験したことがありませんので、その視点からの見方だけになりますが、現状の管理部門を一気にアウトソーシングするのは難しいのではないかと考えています。
じゃ、中小企業はどうだろうかということですが、実は個人的には一度そういう会社を経験してみたいと思っています。



kaizennooni at 21:34│Comments(18)TrackBack(0)clip!改善の難点 

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この記事へのコメント

1. Posted by 人事労務屋・田代   2005年07月09日 09:21
ヨロンさん、おはようございます。
トラックバック、コメントありがとうございました。

ヨロンさんの記事大変参考になりました。私も全く同感です。
興味ある分野ですし、お互い情報交換をしていきましょう!

今後、相互リンクさせて戴ければ幸いです。
2. Posted by Techy   2005年07月09日 17:21
ヨロンさん、こんにちは。Techyです。
こういった話は、業種問わず「集中化」「分散化」などでもよく出る話ですね。時代も影響している部分もありそうです。各部門で持っていた分散データがデータ・マイニング等と言ういうキーワードで統合する方向があったり、個人情報保護法が出来たことによるリスク回避のために集中化というのも出てきましたね。以前勤めていた通信系会社の米国側出資会社は米国でdecentralizeとcentralizeを繰り返していました。圧倒的にどちらかがよいというは無いという事みたいでした。結果はCentralizeでしたがRegional化という中庸に収まって現在にいたっています。シミュレーションを十分にしないといけないという点は確かにそうですね。戻すコストも馬鹿にはなりませんよね。なんかまとまりの無い文章で失礼。
3. Posted by そら   2005年07月09日 21:26
> 実際にシェアードサービスをやってみたもののうまくいかなかった企業のことが書かれています
実際にうまくいかなかった企業例をいくら並べても、管理部門のアウトソーシング化が
無効という結論には達しません。また、提示されている失敗の根拠が極めて希薄です。

話の腰を折ってしまうかもしれませんが、そもそも、「管理部門のアウトソーシング化が
***実際に*** できるのか、効果があるのか」という一般的議論に意味があるでしょうか?
結局、最終的な結論は「その企業による」で終わることは目に見えていますし、これ以上
の結論もあり得ません。
4. Posted by そら   2005年07月09日 21:26
1年ほど前に「成果主義」を巡る是非論が噴出しました。成果主義を元の給与体系に戻す
企業もあると聞きますが、一方で成果主義によって業績を伸ばしている企業(特にIT企業)
も多々あります。まさに「会社もいろいろ」です。
さらに当時出版された関連書籍は大量に古本屋に流通しています。
結局、「ネタ」以上のものでも以下のものでもありませんでしたし、マスコミの金儲けに
利用されただけでした。これと同じです。
5. Posted by そら   2005年07月09日 21:27
私の主張していた「***本質的に*** 管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では
望めない」の論点は:

[1] 社外との競争原理が働かないのに改善できるのか?
(外的基準や競争がないため、自己満足で終わらないのか)
[2] 管理部門の改善を社内で行った場合、どのようにその効果を測定し、誰が評価するの
か、その基準は?
6. Posted by そら   2005年07月09日 21:27
[3] 個々の業務の必要性(および不必要性)を誰が判断するのか、その基準は?
[4] 他の本業部門に納得してもらえるだけの過程や結果を提示できるのか?

『*** 本質的に ***』ですからね………
いずれこれらの論点も記述されるのでしょう。
むしろ上記の本質論こそ、経験者でなければ記述できないことです。
その時を楽しみにしております。
7. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月10日 14:45
田代さん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

こちらこそありがとうございます!
田代さんの記事を常々興味深く読ませていただいております。
すみません、実は既に田代さんのブログをリンクさせていただいておりました。
http://www.bloglines.com/public/yoron
今後ともよろしくお願いいたします。
8. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月10日 14:50
Techyさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

そうですね、「集中化」「分散化」も、どちらがいいというものではないようで、繰り返しが続いているみたいですね。
その背景には、おっしゃるように、その時の環境、世の中で問題になっていることの影響があるのかもしれません。


9. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月10日 15:03
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

ご指摘の通り、
>一般的議論に意味があるでしょうか?
ないと思っていますし、
>結局、最終的な結論は「その企業による」で終わることは目に見えていますし、
これが結論だと思っています。
なので、私は自分が経験することのほうを重視しています。
コンセプトを考え、それを主張することは大切だとは思いますが、仕事の現場で実際に実行できなければあまり意味がないと思います。
そらさんが現在どういうお仕事をされ、どういうご経験を積まれ、どういうお立場なのかわかりませんが、[1][2][3][4]で書かれているようなことについては、企業であれば最終的に経営者が判断するのではないでしょうか。

10. Posted by そら   2005年07月10日 21:12
> [1][2][3][4]で書かれているようなことについては、
> 企業であれば最終的に経営者が判断するのではないでしょうか
あなたに言われなくてもわかっています…。一応、誤解を解いておきます。

[1]は深遠な問題なのでさておき、[2]〜[4]に「評価・判断」と「基準の作成・提示」の
2種類の行動を含めてしまったことが誤解の原因と考えられます。それぐらいは切り分け
て考えてもらえると思ったのですが…。最終的な「評価・判断」はすべて経営者に委ねら
れます。しかし、「評価基準の作成・提示」は社内改善を実行する「担当者」が行うはず
です(※その基準を採択する「決定」を下すのが最終的には経営者)。
11. Posted by そら   2005年07月10日 21:12
どんなプロジェクトであっても、社内に対してまず「基準」を提示しませんか?
提示するには「作成」が必要です。社内の誰から見ても客観的にわかる基準の作成は大変
です。まして社外との競争という一番わかりやすい基準がないわけですから。

経営者の特命でしか改善を行ったことがないというなら、こういう経験がないのも理解で
きますが、そんなことはないでしょう。その大変な「経験」を書いてはどうですか? と
前のコメントでは提案しただけなのに、「自分の経験を綴る」の一点張りです。全く理解
に苦しみます。
12. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月11日 08:17
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

以前にも書かせていただきましたが、誰かの期待に応えるために当ブログを書いているわけではございませんので、あしからず。
13. Posted by ジン   2005年07月11日 16:07
横槍を入れるみたいですが、私はそらさんの提案した内容を読んでみたいです。
そらさんの主張していることも理解できますし、御本人がおっしゃっているように「本質的」なことで決して不毛な提案とは思えません。
社内に対する基準の作成・提示は既に経験されていることでしょうから、当ブログの趣旨の延長線上で書けると思います。
読者の期待に応えるのも「双方向性」を活かしたブログの利点ではないでしょうか? それを無視するのはもったいない気がします。
14. Posted by cybersora   2005年07月12日 21:59
そらです。
私の主張を認めてくださった方もいらっしゃったようで、うれしい限りです。
さて、あなたのリクエストにお応えしてメルアドを掲載しておきます。
(※諸事情により、@は大文字です)
私はあなたのリクエストに応じましたが、あなたはどうするのでしょうか?

…と言いたいところですが、リクエストは撤回しますのでこれ以上は結構です。
15. Posted by cybersora   2005年07月12日 22:01
ところで、なぜここまで頑なに拒否するのか、ここまで言葉を費やさなければ私の本意が
伝わらなかったか、要するに「基準の策定」という社内改善の成否を握る重要な任務を経
験されたことがないことが原因とお見受けいたします。

誤解でしたら解きほぐしていただきたいと存じます、私がしたように…。
16. Posted by cybersora   2005年07月12日 22:01
匿名と実名の善悪の判断は人それぞれですが:

『プライバシーというのは、いったん失えば二度と取り戻すことはできないという際立っ
た特徴を持つ貴重かつ稀少な資産』
(橘玲著「雨の降る日曜は幸福について考えよう」より)

という主張を私は強く支持しています。
「真の有名税」はべらぼうに高いです、まだ御存知ないようですが…。

他のブログによると、これから再就職されるか独立されるかするそうですね。
今後の御活躍と御健闘をお祈り申し上げます。
最後に、再三再四にわたる長文のコメントをどうぞお許しください。
17. Posted by kaizennooni   2005年07月13日 16:47
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

わざわざありがとうございます。
>なぜここまで頑なに拒否するのか、
拒否というのか、同じことの繰り返しになりますが、私はそらさんと議論を交わしたいわけではなく自分の書きたいことを書いたいきたいだけです。
ブログの活用法は人によっていろいろあっていいと思いますが、少なくとも、私自身は「One-way」に近いかたちで活用しており、双方向でどんどんコメントを付け合ったり、議論のためのツールとして活用することは考えておりません。
−続く
18. Posted by kaizennooni   2005年07月13日 16:49
(上記より続く)
ですので、以前にも書かせていただきましたが、そらさんにご自身のブログを作成されてみてはとご提案したのは、そらさんご自身で主張されたい、世に問いたいことがあるなら、ご自身のブログを立ち上げてそこで論を主張されてはいかがでしょうかという意図でした。
もし、そらさんの主張に関心があり、議論を望まれる方がいらっしゃれば、そういう方がコンタクトされることもあるでしょうから、そのときに大いに議論されるなり、意見交換されてはいかがでしょうかということです。

>今後の御活躍と御健闘をお祈り申し上げます。
ご丁寧にありがとうございます。

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