2005年06月20日

アウトソーシングの落とし穴

0aef31ec.jpg管理部門の改善の事例本は少ない”という記事を書きましたが、そらさんから大変参考になるご意見をいただきました。
管理部門の改善にはアウトソーシングが有効ではないかとのご意見でした。
たしかに、管理間接部門・業務の合理化、効率化をはかるうえでは、アウトソーシングは選択肢として検討に値すべきものです。
最近は、シェアードサービスの会社も増えてきていますので、アウトソーシング化の流れはどんどん進んでいくでしょう。
これは、そらさんのご意見の通りだと思います。

そらさんがご紹介されたピーター・ドラッカーの『未来企業』は私も読みましたが、同書の中では、未来の企業は、本社機能を一握りのプロフェッショナル集団が受け持ち、あとはアウトソーシングされた姿として描かれています。
極端にいえば、経営者以外はみんな外部の協力会社の提供する材やサービスによって成り立っている姿です。
本当にそうなるかどうかわかりませんが、一つの方向性としてはとても興味深いものがあります。


ところで、アウトソーシングを検討する場合は、これもよくいわれることですが、
1.自社資源を使う場合に比べて本当にメリットはあるのか(コスト、効率面等)
2.自社にノウハウが残らず、アウトソーシング先によって事業を左右されないか

ということが重要です。
アウトソーシングが流行だからといって、このあたりを自社で十分検討するこなく実施してしまったら、痛い目に遭うことだってあるでしょう。

また、アウトソーシングするにあたっては、委託先の企業を十分調査し吟味することも大切です。
いろんな分野でアウトソーシングブームに乗って売り込みをかける企業は多いのですが、「えっ、こんなレベルなの?」というぐらい質の低い会社も多いのが現実です。
内部でやっていたときはそこそこの業務品質を保っていたのに、アウトソーシングしたばかりに品質が落ちてしまった、なんてことはありがちです。
アウトソーシングするときは、“品質の維持・向上”を絶対条件にすべきです。
品質の維持・向上ができても、コストが高くついてしまってはこれも意味をなしません。
企業戦略の視点からみれば、アウトソーシングは有効な手段ではありますが、実際の導入・運用にあたっては、いろんな側面から十分検討する必要があると思います。
管理部門が肥大化するのはよくないというのは想像し易いのですが、じゃ全部その機能を外部に委託すればメリットばかりが多いかというと、そう単純なものでもないでしょう。

人事部、法務部を丸ごとアウトソーシングした結果、社内には、その会社を内部から見れる社員がいなくなり、人事上の相談をできる人がいなくなり、事業のことを理解して法務相談にのってくれる人がいなくなり、、、そんな状態になってしまうこともあるかもしれません。
また、既に管理部門に人材を配置している場合、急激に管理部門を縮小・廃止したり、人材の配置転換などを行うと、摩擦が発生し、モチベーションの低下などを招く恐れがあります。
そういった問題は、管理部門の問題のみに終わらず会社全体に広がっていき、結果的に事業上マイナスになってしまうことだってあるのです。

大きな視点でみればアウトソーシング化は必然の流れだと思います。
ただ、書籍やメディア情報では成功事例やいい面しか取り上げられないので、失敗事例や悪い面が隠れて見えにくくなっているような気がします。
仕事を通して外注化、外部委託などを経験したことのある人なら実感できると思いますが、こちらの依頼通り、あるいはそれ以上のいい仕事をしてくれる人や会社がある一方で、こちらの要求を満たさない低品質の仕事をする人や会社もあります。
そういう点でいえば、アウトソーシングは、戦略面で十分練り上げられたうえで、実行にあたっては慎重・十分な事前検討が必要というのが私の考え方です。

kaizennooni at 23:21│Comments(15)TrackBack(0)clip!改善の手法 

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この記事へのコメント

1. Posted by そら   2005年06月21日 18:23
ご回答いただき、ありがとうございました。
ただ、私の説明不足でしっかりと意図が伝わらなかったようです……
長文なので分割してコメントさせていただくことをご了承願います。

> 管理部門の改善にはアウトソーシングが有効ではないかとのご意見でした
実はもっと強い主張です。私の考えはドラッガー氏と同じで「***本質的***に管理部門の
生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」ということです。極論すれば「社内管
理部門不要論」です(※あくまでも極論です)。
2. Posted by そら   2005年06月21日 18:24
ただし、大企業の場合はアウトソーシング会社でも対応できない可能性もあるので社内で
整備するのも理解できますが、中小零細企業レベルならば一部あるいは全部をアウトソー
シングすべきだと考えています(※委託先の吟味は別の話)。なぜなら、管理部門の社内
改善には真の競争原理(=外部との競争)が働かないからです。決してアウトソーシング
ブームに乗った主張でも、アウトソーシング会社の質を問題にしたいわけでもありません。
3. Posted by そら   2005年06月21日 18:26
> 人事部、法務部を丸ごとアウトソーシングした結果、
> 社内には、その会社を内部から見れる社員がいなくなり…
管理部門だけが「内なる視点」で仕事をしている時代は終わりました。今や全従業員に要
求されることです。
4. Posted by そら   2005年06月21日 18:26
> また、既に管理部門に人材を配置している場合、急激に管理部門を
> 縮小・廃止したり、人材の配置転換などを行うと、摩擦が発生し、
> モチベーションの低下などを招く恐れがあります
ならば、急激にやらなければよいでしょう。管理部門の人材をうまく配置転換するのが
「社内管理部門最後の仕事」と言っても過言ではないと考えています。
5. Posted by そら   2005年06月21日 18:27
> アウトソーシングは、戦略面で十分練り上げられたうえで、実行に
> あたっては慎重・十分な事前検討が必要というのが私の考え方です
アウトソーシングに限らず、経営的判断すべてにおいて「戦略面で十分練り上げられたう
えで、実行にあたっては慎重・十分な事前検討が必要」です。これは「常識」「当たり前
のこと」を述べただけであって、いささか「考え方」とは呼べないと思います。

以上です。「超」長文コメントをどうぞお許しください。
それにしてももう少し、長文コメントを受けつけても良さそうな気がしますが…
6. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年06月23日 21:09
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

貴重なご意見をいただきありがとうございます。
そうですね、以前はもう少し長いコメントが書けたような記憶がありますが、システムの問題なのか文字数が制限されたように思います。
あと、コメントをいくつかに分けて書くと、コメント数のところにコメントの数が反映されないんでしょうかね。
一見、コメント(0)という表示を見るとコメントが付いていないように思ってしまいます。
「続きを読む」をクリックしてから気づくという次第です。
またいろいろご意見をお聞かせください。

7. Posted by そら   2005年06月24日 20:05
> またいろいろご意見をお聞かせください。
……ではなくて、ヨロンさんの御意見を承ることはできないのでしょうか?

私はヨロンさんの人格やキャリアを否定するつもりは毛頭ありませんし、ケンカを吹っ掛
けて楽しむつもりもありません。

「本質的に管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」、究極的には
「社内管理部門不要論」に対する管理畑の方の御意見・反論を頂戴し、議論を尽したいだ
けなのです。このようなことは実社会だとなかなか難しいことです。――続く――
8. Posted by そら   2005年06月24日 20:06
また、社内管理部門の改善そのものの必要性に関わる問題提起ですから、当ブログの趣旨
からして無視できない内容のはずです。
今すぐに、とは申しません。ご多忙とは存じますが、よろしくお願い致します。再三にわ
たる長文のコメントをどうぞお許しください。

P.S.
確かにトップページにコメント数が反映されていませんね。削除されたかと思いました。
「ブログの再構築」でも直らないでしょうか?
9. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月02日 11:23
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

なかなかコメントを返信できず申し訳ありません。
私はブログを6つ立ち上げておりまして、仕事+ブログの運営で首が回らなくなっております。
掲示板だと参加者の議論に向いているのでしょうが、ブログは個人の主義主張、考え方を、どちらかといえば「one-way」で発信する用途に向いているものなので、そらさんのご意向に添えない面もあるかと思います。
その点はご容赦ください。
コメントでのやりとりを通してというよりは、各記事にて私の考え方、経験から感じたことなどを書いていこうと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
10. Posted by そら   2005年07月03日 13:29
> ブログは個人の主義主張、考え方を………その点はご容赦ください
十分、承知いたしておりますので気にしておりません。

> コメントでのやりとりを通してというよりは、
> 各記事にて私の考え方、経験から感じたことなどを書いていこうと
そもそもブログとはそういうものですね。理解しております。

私のいう「議論」とは、「コメントでのやりとり」を指すのではなく、「このテーマ
で新しいエントリを記述していただけないでしょうか」という意味です。
どうも間接的な表現はうまく伝わらないようです。単刀直入に申します。――続く――
11. Posted by そら   2005年07月03日 13:30
「本質的に管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」
「社内管理部門不要論」に関するヨロンさんの考え方を記したエントリを書いていただけ
ないでしょうか?
また、社内管理部門の改善そのものの必要性に関わる問題提起ですから、当ブログの趣旨
からして無視できない内容です。この本質論に触れずにハウツーや経験を語っても説得力
がありません。

(新しいエントリを記述するのは大変だと思いますので)今すぐに、とは申しません。
ご多忙とは存じますが、よろしくお願い致します。
再三再四にわたる長文のコメントをどうぞお許しください。
12. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月03日 20:21
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

>「本質的に管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」
>「社内管理部門不要論」に関するヨロンさんの考え方を記したエントリ
>を書いていただけないでしょうか?
というリクエストに関し、せっかくですので私なりの考え方を一度記事にしてみたいと思います。

ただし、「管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」というテーマでこのブログを書き続けていくことは考えておりません。
そらさんからみれば、本質論抜きということになるかもしれませんが、このブログのタイトル部分で書いていますように「私の経験やノウハウ」を綴っていくのを目的としていますので。
もし、可能なら、そらさんご自身のブログがあれば、そちらで自説を述べていただければ私も参考にさせていただけるのですが、いかがでしょうか。



13. Posted by そら   2005年07月03日 21:22
> せっかくですので私なりの考え方を一度記事にしてみたいと思います
ありがとうございます。楽しみにしております。

> ただし、「管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」というテーマで
> このブログを書き続けていくことは考えておりません。
意味がよくわかりません……。
「管理部門の生産性向上はアウトソーシング以外では望めない」という立場で当ブログを
書き続けてくれなどと誰も申しておりません。この意見に対するエントリをお願いしただ
けです。――続く――
14. Posted by そら   2005年07月03日 21:24
> 本質論抜きということになるかもしれませんが、このブログのタイトル部分で書いてい
> ますように「私の経験やノウハウ」を綴っていくのを目的としていますので
私の自説が正しいとするとヨロンさんの経験やノウハウが役立つのは主にアウトソーシン
グ会社の従業員です。しかし、そのような人たちは同様の経験やノウハウを身に付けた
(あるいは教育された)上で仕事をしているはずですから役に立つ人がいなくなってしま
います。どうしてもこの本質論を避けることはできないのではないでしょうか?

> そらさんご自身のブログがあれば、そちらで自説を述べていただければ
> 私も参考にさせていただけるのですが、いかがでしょうか。
自説はすでに説明済みです、非常にシンプルでわかりやすい論理ですから。
この程度の自説など、ブログを立ち上げて披露するほどのものではありません。
15. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年07月08日 21:22
そらさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

>意味がよくわかりません……。
そらさんが、もし私に対し、そらさんが考えている方向で記事をエントリしたり、議論を展開していくことを期待しているのなら、残念ながらそのご期待には応えられませんよ、ということを言いたかっただけです。
基本的には、このブログでは、そのときに思ったことを(思い付きも含めて)書いていこうと思ってますんで。

>ヨロンさんの経験やノウハウが役立つのは主にアウトソーシング会社の従業員です。
どういう層であれ、役立つと感じた方々が自由に感じとっていただければいいと考えております。
私の経験の範囲だけですが、管理部門の業務には改善の余地はたくさんあると思っています。

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