2005年06月11日

必要性を感じない改善は成功しない

組織的に改善活動に取り組んでいる企業は多いでしょう。
私が以前勤務した会社のように、各部署、各自の提案件数のノルマを設定し、ある意味強制的に改善活動を進めている会社も多いかと思います。
改善は日本企業の強みであり、商品やサービス、仕事そのものの品質を高められる効果があったからこそ、組織を上げて改善活動に取り組んできたという背景があります。
日本は、戦後、欧米企業に追いつくために、必死になって先進的な欧米企業の技術を模倣し、その技術の改良・改善に取り組んできました。
その甲斐あって今日の繁栄を築くことができたといえるでしょう。

一方で、これまでの改善活動のやり方に限界も出始めてきています。
つまり、改善、改善と呪文のように唱え、改善提案の件数(量)のほうを重視してきたため、質の改善のほうが疎かになってしまったのです。
そのことに気づいている改善担当者や活動推進者は少なからずいるはずです。
じゃ、質の改善をするにはどうしたらいいのか、これがまた難しいのです。
難しい理由は、効果測定にあたって、質というのは数値化、データ収集がやりづらいからです。


改善を行う上では、量的な面と質的な面の両方を押さえることが大事ですが、それよりももっと大事なことがあります。
一言でいえば、実際に改善を行う人が、その必要性を感じることです。
逆の言い方をすれば、必要性を感じない改善は成功しないということです。
「必要性を感じないで改善に取り組むことってあるの?」って?
はい、実際あります。
では、例を出しましょう。
例えば、会社の方針の中に「各職場における改善活動の推進」があったとしましょう。
方針なわけですから、組織の責任者は業務命令で部下に改善活動への取り組みを指示します。
ここで命令をする人と命令を受ける人、上司と部下が徹底的に話し合って、お互いが納得して活動を行うなら、成果も期待できるかもしれません。
しかし、上司は「まぁ、会社方針だからやるけど、適当にやっておけや」と部下に言い、部下は部下で「まぁ、上司がそんなふうに言うんだから、適当にやっておくか」という流れになっていたとしたらどうでしょうか。
こういう場合、改善はうまくいくと思いますか?

私も仕事人人生の中で何度か経験があるのですが、曖昧な指示を受け、こちらもそのことを曖昧にしたままでいるときは、必ず仕事の質は落ちます。
仕事の成果を一見出たように見せることはできるのですが、それは本質的な部分では嘘だからあまり効果がないのです。
あなた自身経験はありませんか?
とにかく資料、データを作成するように指示されたので、間に合わせで作成してしまった経験が。
なぜか、データや文字がもっともらしく埋め込まれた資料が出来上がると、何となく成果を出したように感じるから不思議なもんです。
実はこれこそが危ないのです。
だって、この資料作成に関わった人たちが必要性を強く感じなかったわけですから。

私のように事務職が長くなると、資料作成などの業務では、曖昧な指示を受けてもある程度はそれらしくまとめることができるようになります。
これをスキルといっていいかどうかは疑問がありますけどね。
「ヨロンくん、会社がビジョンを持つことの重要性についてまとめるように」ってな指示を受けたら、仮にそこまでの内容だけであっても、自分なりにあれこれ調べて資料としてはかたちにできます。
しかし、この場合(ビジョンの重要性をまとめること)、重要なことは、指示を受けた業務の成果を実のあるものにするために、指示を与えた人と受けた人の双方がその業務自体の重要性を認識していることなのです。

さきほど、改善提案件数の量ばかり重視することの弊害について述べましたが、私の経験の中で、具体例としてこんな事例を紹介します。
人間、ノルマを与えられるとプレッシャーを受けます。
ノルマが達成できそうな場合はプレッシャーも弱いのでしょうが、達成が難しそうな場合は強いプレッシャーを感じます。
たしか、(おぼろげな記憶ですが)こんなことではなかったかと思います。
前の月に、(私が業務で使っていた)ファイルの保管場所が適当でなかったので別の場所に変更したという改善提案を出しました。
それなのに、翌月改善提案件数のノルマ達成が厳しかったため、前回変更したファイルの保管場所を業務効率化を理由に元の場所に戻したのです。
こんな提案でも当時はとりあえず件数としてはカウントしてもらった記憶があります。
それから、(他人、他部署との連携は一切考慮せず)自分の業務だけの効率化のために、資料のフォーマットを変更したなんていうのもあります。

繰り返しになりますが、結局、改善を成功させるためには、実際に改善を行う人がその必要性を感じることが大切で、必要性を感じないままやる改善活動は成功しないということです。
自分自身も耳の痛い話しではありますが、ここに、改善が成功するか否かの分かれ目があるのです。


kaizennooni at 17:30│Comments(0)TrackBack(0)clip!改善の難点 

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